デジタルイラストにおける筆致の問題
https://twitter.com/kainownill/status/1209372220469825536
このイラストを描いているときに明確に感じた問題点の話です。
ある程度デジタル絵が描ける人が読むとなるほど~と思ってくれるかもしれないのですが、初心者の人とかは「ふ~ん」くらいに流してくれればちょうど良いかと。
このご時世、インターネットお絵かきマンをやっていると「美少女」を描くということは必修科目と言えると思いますが、僕も美少女からは逃れられず日夜美少女を研究しております。(描いてて楽しいのもある)
で、このへんを描いてるときに「女の子の二の腕とかおっぱいは柔らかい」「柔らかくなれ」と念を込めながら”筆致を潰す”ような塗り方をしていました。
グラデーションを滑らかにしていると言った方がわかりやすいかもしれないです。
このときに滑らかにした先に何かデジタル特有の味?のようなものがあることを感じました。何というかニュルっとしてるというかなんというか・・・
どういうものをそう呼んでいるかは上の参考画像を見てくれとしか言えないので見て「あぁこれね」と思ってくれたら嬉しいけどこれは伝わっているのだろうか・・・
次に手を描いているとき、僕は手に関しては受験でしこたまデッサンしたこともありついつい気合いが入ってリアルに描いてしまう癖があるのですが、ここを描いているときは”筆致を残す”塗り方を意識していました。
これは手の中に入っている骨を意識して描いているからかもしれないです。
(ていうか今見るともうちょっと直したいとこあるな)
で、こっちに関しては筆致が残っている箇所が多いので、前述のニュルっとした何かになっていないと思います。
で、何が言いたいかというと・・・
ある種当たり前なのですが、「筆致を残す」塗り方と「筆致を潰す」塗り方は共存出来ないということです。(少なくとも今の僕の技術では)
筆致を潰すのも残すのもどちらにも表現としてメリットがあり、どちらが優れているかと言えるものではないのです。事実どっちのタイプにも有名なイラストレーターの人はいると思います。どちらを選んでいるかが作家性につながるのかなと・・・
筆致を残す描き方はやってみれば分かるのですが、物の構造を完璧に理解して的確な塗りをしなければ簡易的に物質を表現出来ず、ただ雑な絵になってしまいます。
上手い人の筆致はただひたすらかっこいいので憧れるのは分かるんだけど、雑な絵には何の価値もないんですよね・・・
逆に筆致を潰す描き方はぼかしツールなんかを使えば簡単に塗れそう、塗れていると錯覚してしまうのですが、これもまた物質を完璧に理解していなければ的確なグラデーションを作ることが出来ず、安っぽい絵になってしまいます。
初心者の場合、まだ審美眼が鍛えられていないので自分の絵が安っぽい絵かどうかの判別がつきにくいのも難しいポイントかなと・・・
安っぽい絵からの脱却は結局審美眼を鍛えるしかなく、画集を見たり、展示を見たりして技術のインプットも必要不可欠だと思います。
僕はこの絵でやっと筆致を潰す塗り方が出来るレベルの筆圧管理を身に着けたのかなと思いました。
これから何を目指すかはやっぱり欲張りなので「筆致を残す箇所」と「筆致を潰す箇所」が共存している絵を目指そうかなと・・・
このサンタの絵よりは「筆致を潰す箇所」を多めに配分していこうとは思いますけど。
このブログは完全に僕のPDCAサイクルを回す過程で生まれるものなので、誰か同じようなことで迷っている人がいたら参考にしてくれると嬉しいです。
解決していくことは無限に出てくるんだけど、中々難しいんだよなぁ。